「ホントにいいの?勝手に頼んで怒られねえかな」
ランドリー室で待っていたあたしの前に、カゴ一杯の洗濯物を抱えた透くんが現れた。
どれだけ洗ってなかったのか、パッと見ただけでも数種類のシャツに靴下、トランクスまで詰め込んである。
意外と遠慮なかったな、と苦笑してカゴを受け取ると、透くんはバツが悪そうに首をひねった。
「私が言いだしたことだから大丈夫ですよ。あのまま待つのも手持無沙汰だし、ちょうど良かったです」
「いい人だなー、塔子さん。あ、塔子姉って環が呼んでたから・・・名前でも良い?」
「構いませんよ。じゃあ、洗っておきますね」
干すのは各自で行うって言ってたし、乾燥まで終わった頃取りに来てもらえばいいだろう。
部屋に戻ってても大丈夫だと声をかけようとしたが、既に透くんはアイロン台の前にあったパイプ椅子に腰かけていた。
「久野さん抜かしたら、寮生で初めて会ったの俺?」
「そうですね」
「一番ゲットー」
可愛い。何が嬉しいのかわかんないけどガッツポーズしてる。
「えー洗剤ってそんなちょっとでいーの!?山盛り1杯って説明に書いてあんじゃん」
「量に合わせて調整しないと。皆の分一気にやるならそれでいいと思いますけど」
「まとめてやる時は3杯くらいにしてた」
「入れすぎです!」
だから白い粉ついてんのかーと納得した感じで覗き込む透くん。
一つ勉強になったのなら良かった。

