ご飯は皆が揃ったら。





「あそこにボードがかかってるでしょ。寮生からの伝言はアレに書くことになってるみたいなんで、逐一チェックして下さい」

久野さんが指さした先の壁には、今は特に何も書かれていないホワイトボードが掲げられている。

そのすぐ横に、談話室とは反対側の出入り口があり、覗くと2階へ続く階段があった。
2階には個々の部屋とトイレがあるだけということで、ひとまず案内は見送られ、次にランドリー室へ向かう。

さすが私立、最新と見られるドラム式洗濯機が2台。
一気に全員分は無理だろうけど、ここでも洗濯物を干すスペースがあるし、アイロン台もある。
隣の大浴場には暖房もついていて、思わず笑いが零れてしまった。

「ん?」
「ごめんなさい、あまりに豪華すぎて。確かに、この施設に慣れたら危険かもしれないですね」
「そうでしょう。僕のアパートなんて彼等からしたら時代遅れで住めませんよ。自立を養う努力もしてはいますけどね」

見て下さい、と示された窓の向こうに、一面の畑があった。
どうやら農業科の生徒のために設けられたらしく、端っこには謎の小屋が建っている。

「あそこで山羊を飼うんです」
「山羊!?」
「一昨年までは山羊も鶏もいたんですよ。農業科の寮生が卒業と同時に連れてっちゃったんですが、可愛い子でした」
「へ、へえ・・・」