「基本的には、食事管理と寮内の清掃、あと入寮者の体調管理などです。食事については、平日は朝と夜、休日は寮内の人数に合わせて昼もお願いします。
といっても、大学組は皆バイトしてるし、高校生組は部活があったりなのでお昼についてはほとんど不要かもしれません。校内に食堂がありますから」
「わかりました。配膳の時間は決まってるんですか?」
「高校生組は大体皆が揃って取るので、彼らの希望に合わせて良いと思います。大学組は授業時間もほぼバラバラなので、用意さえして頂ければあとは自分で温めるんじゃないかな。不要な日は前もって伝えるシステムにしてると聞いてますよ」

ふむふむ、大人数の子ども達と帰りの遅い身内を持つ家庭のようだ。
とりあえず、温めたらすぐ食べられるようなものを作っておくほうが良いかもしれないな。

「清掃ですが、共同使用の場所のみで結構です。各自の部屋と階毎のトイレは寮生がやるようにしてますから。休日は誰かに手伝いを頼んでも良いですよ」
「はい。ランドリー室が配置されてますけど、洗濯などは・・・」
「これねえ、前の寮母さんが節約に気を遣う方だったんでまとめてやってもらってたんですよね。干すのだけが各自で」
「自由にやると確かに水道代すごそうですもんね」
「でも、個別でも大丈夫ですよ。その方が気が楽でしょう」

もしかして気を遣ってくれたんだろうか。
そう思って「仕事ですから、やらせて頂きますよ」と返せば、久野さんはじっとあたしを見つめた。