「さすが、環くんが推すだけあってしっかりしてますね」
「あはは・・・それを継続できるよう頑張ります」
「あ、これが例の車ですね」
「例?」
「買って数日後に・・・っていう、その、いわくつきとか・・・」

添付しておいた車の写真を見て、ポンッと手を叩く久野さん。

買って数日後に、どうしたって?
クビになったことか、実家で引きこもり始めたことか?

人の2週間に渡る黒歴史をおもしろおかしくしゃべってるイトコが想像できてしまい、契約書の文字が歪みそうになる。

「お見苦しい経緯が行き渡ってるようで申し訳ありません」
「でも、環くん力説してましたよ。塔子姉なら絶対に良い寮母さんになってくれるって。
個性的な面々ばかりで慣れるまで大変かと思いますが頑張ってくださいね」

けれど、わがイトコの売り込みと久野さんの微笑みに、やる気のパーセンテージが少し増える。
すると久野さんは「仕事の内容だけ先に説明しますね」と自分の元に置いてあった紙をあたしに向けた。

そこには、おそらくあたしに任されるであろう仕事の数々がリストにされていた。