談話室って表示があった気がしたけど、確かに一般的なリビングを物凄く大きくした感じ。

ソファーの上にはクッションや誰かのパーカーが散らばってるし、ペンションなどのラウンジよりはもう少し家庭風だ。
窓の向こうはバルコニーに続いており、その奥には物干し竿やバスケットゴールなんかが見える。

ついきょろきょろと眺めている間に、男の人がテーブルに封書を置き、椅子を引いてあたしを促した。

「僕は篠生大学事務課の久野と言います。どうぞよろしく」
「はい、こちらこそよろしくお願い致します」

やっぱり、学生ではなかったか。
改めて深々頭を下げあったのち、慣れた手つきで様々な書類を広げられる。

契約書と駐車許可書・・・あ、保険も入れてくれるんだ。
勢いで返事しちゃったけど、福利厚生は死活問題だから良かった。

「次に来る時までで良いので、こちらを全部記入して大学の事務に提出してください。平日の9時以降なら僕が窓口にいますので」
「わかりました」
「・・・あ、契約書は今日書けそうかな。印鑑持ってます?」
「はい。一応必要そうなものは全部ありますので、なんでしたらどれも間に合いそうですけど・・・」

自家用車持ち込みOkと言ってたから、車検証と自賠責もコピーしてきたし。
まとめたファイルを取り出すと、久野さんが小さく「おおっ」と呟いた。