「ほら...そうこうしてるうちに、相手が来たよ」
相手?
ゼンの言葉に、後ろを振り返る。
あたしたちと真反対にあるゲートから現れたのは、同じ制服をきた、同い年くらいの子たち。
入学式で見た顔がたくさんいるような...?
...って、あれはもしや!?
「〝ヒーロー〟の奴らだね」
「う、うん...。でも何で...?」
「入学式で校長が言ってただろ?
この学校では〝ヒーロー〟と〝ヒール〟に分かれ、生徒同士で戦う授業があるって。
これはきっと、それの予行練習も兼ねてるんだろうね。
...まったく、面白い『テスト』を思いついたもんだよ」
静かにそう言ったゼンは、皮肉めいた笑みを浮かべて腕まくりをする。
男子特有の、血管が浮くすらりとした腕。
顔だけじゃなく腕もイケメンなんて...。
って!!
こんなくだらないこと考えてる場合じゃない!!
ゼンの言っていることが本当だとすると、あたしたちはヒーローの子たちと戦うってことだよね?
そんなの無理だよ...!!
だって、ヒーロー組にはナナがいる...!!


