2人だけになると、ナナは大きなため息をついた。




「隠しててごめんね、リリアン。
でも王族だなんて言ったら、きっとよそよそしくなると思って」


「まぁ...。
でも、ナナがいいなら、友達として仲良くしたい」


「いいに決まってるわ。
ていうか、むしろそうして欲しいの。
私、お城の中で友達って呼べる人はいなかったし」


「ナナ...」


「だから、1人のナナとして、仲良くしてね?」


「...うん。もちろん!」




そう言って笑うと、ナナも嬉しそうに微笑んだ。



ナナは、きっと今まで寂しかったんだと思う。


だからこの機会に友達を作りに来たに違いない。


正体を隠していたのもそのためなのかな。



いずれにしても、ナナはナナ。


お姫様である以前に1人の女の子で、あたしのルームメイト。


それなら仲良くするほかない!!




「ナナはヒーロー?それともヒール?」


「ヒーローよ。
リリアンはヒールだから、残念だけど敵同士ね」


「え、なんで知ってるの?」


「じいやが教えてくれたわ。
そんな事しなくていいって言ったのに、あの人は過保護すぎるから...」




じいやさん...。


ナナのことが心配なのは分かるけど、それであたしのことまで調べてたなんて。


だからさっき『庶民』って言ってたんだね。



...あれ?


だけど、あたしの能力については何も言ってなかったような?




「じいやさん、あたしのこと全部調べたの?」


「うーん、どうかしら。
多分家柄とか属性とかだけだと思うけれど」


「でもあたし、属性無いよ?」


「え?どういうこと?」


「あたし、魔法が使えないから...」




ナナの大きな目がさらに大きく見開かれた。


困惑の色が浮かんでいる。