...とは言えず。



結局、一緒に行くことになってしまった。


人とすれ違うたび、かわいい女子たちがあたしを睨んでくる。


その原因は間違いなく、あたしの隣をご機嫌に歩く迷惑なイケメン...。


どうしてこの人はあたしに関わってくるんだろう?




「ねぇ、リリー。
キミって本当に魔法使えないの?」


「そうだけど...」


「そっか。そういう人もいるんだな」


「...ゼンは、何であたしなんかに話しかけるの?
能力が全く無いダメ女なんだよ?」


「んー。リリーが可愛いからかな」


「...それはどうも」


「っていうのは冗談でさ。
みんなと違うのに堂々としてられるリリーのこと、単純にすごいと思った。だから話しかけてる。
あ、可愛いと思うのは本音だけどね?」




あたしが、堂々としてる?


...そんなわけないよ。


いつだってあたしは、自分に自信がないのに。




「リリーの前でこういうこと言うのどうかなって思うけど、俺ってバイタレントじゃん。
小さい頃は、怪物だーって言われていじめられて、そりゃあ性格がひん曲がって育ったもんだよ」


「そうなんだ...」


「でもまっ、リクたちのおかげで変われたけど」