...そして最後は、あの男。



あたしにぶつかってきて謝罪もしなかった、長い前髪のムカつく男。


ゼンとかライトとかイアンとかはイケメンだと思うけど、この人だけは顔も見えないし、無表情だし、カッコイイと思えない。



窓側の一番後ろに座り、頬杖をつきながら窓の外を眺めるそいつ。


いや、自己紹介しなよ。


大トリなんだからさ...。




「ちょっとちょっと、リク。お前がやんなきゃ終わんねーじゃん!」




ナイス、ゼン!!


あなたがもう名前言っちゃったけど、それは正論です!



リクは不機嫌そうな顔で...まぁ、顔は見えないんだけど、そんな雰囲気を出しながら渋々顔を正面に向けた。




「...リク・レイモンド。属性は水、雷、風」




よし、これでやっと長い自己紹介タイムが終わった。


...って、え?



属性は水、雷、風って...まさか。




こいつ、トリタレント...!?




唖然とするあたしたち全員の中で、唯一、先生はご機嫌な声で拍手している。




「いやあ、さすが〝奇跡の4人組〟だな!
お前たちのような最強メンツが揃ってくれて嬉しいぞ!!」


「いやいや、別に俺らそんな凄くないですよ?」


「何言ってんだ!
4人中3人がバイタレント、そして1人はトリタレント!!こんな組み合わせで、どう凄くないっていうんだ!!」




先生はどうやらこの4人のことを知っているみたい。



周りの子たちでもヒソヒソと話している子が何人かいる。



そんなに有名なのかな...?