「ばーか! 牛丼ぐらい奢ってやるよ」

「牛丼?!」


 どうせ奢ってくれるなら、もっと高級なものにしてよ! でもこんな時間にやってるお店なんてそんなものか……


「和泉! 行くのか行かないのか、早く決めろ!」

「い、行く! 牛丼食べたい!!」


 青葉は私を置いて歩き出す。慌ててその後を追った。

 ふと空を見上げると、夜空には月がまだ眠らずに輝いている。それはまるで、園子さんや私の明日への道を、明るく照らしているようだった。