美味しいものをたくさん食べて、元気になって。そして今度は、素敵な人に恋が出来るように……


「ありがとう……スイ君。ほんとに、ありがとう……」


 園子さんは泣きながら、笑っていた。それはやっと見られた、彼女の最高の笑顔だった。


 園子さんと金髪さんは、駅前でタクシーを拾うと帰って行った。彼女たちの去って行く姿を見送って、マンションへ帰ろうとすると声がした。


「――――馬鹿のくせに、良い事言うじゃねーか」


 振り返ると、そこには青葉が。彼は掃除とかしないから、とっくに帰ったと思ってたけど。どうやらまだ帰ってなかったみたいだ。しかも私と園子さんのやり取り、聞いてたみたいだし。


「馬鹿、は余計だよ!」


 私がそう返すと、青葉は鼻で笑った。だけど、私の目の前まで来ると、ポンポンと頭を軽く叩く。


 ――――大きな手が、何だか優しくて……


「よし、腹減ったから、メシ食いに行くぞ!」

「え?! でも、私……お金が…………」


 園子さんにはカッコいい事言っちゃったけど、私も同じ借金生活。なるべくお財布の中身は減らしたくない。