朝になり、けたたましく鳴るアラームの音にやっと起きると、青葉の姿は部屋の何処にも無かった。私が呑気に寝室で寝ている間にもう、ティアーモへ行ってしまったみたいだ。

 リビングのテーブルの上に、コンビニのパンとコーヒーが、彼の代わりの様にポツンと置いてあった。きっと青葉が朝ご飯にと、買って来てくれたんだろう。

 有り難くそれを貰って、朝ご飯に食べた。昨夜の輝さんと竜馬さんの事がまだ少し心に残っていたが、そんな事言ってられない。

 私も支度をするとすぐに部屋を出て、ティアーモへ向かった。






 二部営業は早朝五時から。ホストを始めた当初は、こんな時間にお客様なんて来るのかな、と思っていたけど。意外にも来店客は多い。夜の一部営業とは客層はガラリと変わって、同じ夜の仕事をしている人が一仕事終えてから来店するのだ。

 ホストクラブ目当てで夜の仕事をしている人も結構いるので、お金の使い方は一部営業のお客様より派手だ。結構な金額のお酒をどんどん注文してくれる人もいる。

 だから、ジャスティスとの売り上げ勝負には結構重要な時間。一部営業の不甲斐なさを取り戻すチャンスでもあった。


 カウンターバーの端っこからこっそり店の様子を見ていると、青葉から連絡が行ったのだろう、青葉指名常連の美琴さんも来てくれていた。

 前に私にスーツを買ってくれると言っていた、あの美琴さんだ。