立っていた人影は、やっぱり輝さんと竜馬さんだった。二人は近づいて来た私の顔を見て一瞬驚いた表情になったが、すぐにばつが悪そうに笑った。


「まさか、スイが来るとは思わなかったよ」


 黒のスーツ姿の輝さん。いつもティアーモでしていたように、きっちりとネクタイまで絞めてる。隣の竜馬さんもスーツだけど、シャツの胸元は広く開いていて、お気に入りだと言っていたシルバーアクセを付けていた。

 二人とも、ジャスティスでの仕事後なんだろう。


「……湯田さんに言われて来たんです。お二人の忘れ物を届けに」


 ――――忘れ物? 同時に呟き不思議そうな顔をした二人に、湯田さんから預かっていた封筒を差し出した。

 封筒を受け取った輝さんと竜馬さんがその中から取り出したのは、薄いフォトアルバム。開いてページを見たとたん、二人は俯き肩を震わせる。


「……これ、俺たちの……写真…………」


 輝さんの目に涙が滲む。


「イベントの……ちゃんとまとめてくれてたんだな、湯田さんらしいや……」


 はは、と笑い声を漏らしながら呟く竜馬さん。

 湯田さんは、二人にそんな物を届けたかったんだ。何処までも優しい人だから……