莉乃が、俺に抱きつく。

だけど、俺は、気づいていない。

莉乃が、ニヤリ、と笑ったのをーーー



「ねえ、歩私アミに会いたいな」



「すいません、松浦アミさんには家族以外面会謝絶になってましてーー」



看護士がそう告げ、不満そうに口を尖らせる莉乃。


 「なんだ~ダメか、残念」 



「とりあえず、ベッドに横になってーー


今は休みな。

また、明日来るな」



離れるのに、不安はあった。


だけどここは病院。
大丈夫、と言う確信があった。



「じゃあ、お願いします。



先生ーー」



俺の言葉に頷く先生。


白髪混じりの60歳ぐらいの、先生で。


全てを見通すベテランの気質に圧倒され、任せた。


俺は、君を残して部屋を出た。