「性には、まぁ習性とか性質って意味もあるけど。ここでは人のよい所悪い所、特に悪い方欠点を意味するんだ。そこで問題、当時の帝の名前は??」



『……帝の名前??』



急な問題にオロオロトしたが、教科書に視線を落とした。ウロウロと視線を彷徨わせていると、備考の欄に嵯峨と書いてあるのを見つけた。


コレか!!



『嵯峨』



「そう嵯峨、この《悪(サガ)無くて善からん》には人間の性(欠点)と嵯峨天皇を掛け合わせてるんだ。ようは、嵯峨天皇なんていなけりゃいいって事」



『考えた人は凄いですね』



よく考えたなそんな事。嵯峨天皇によっぽど不満があったのか、暇だったのか……。



「ハハ、そうだね。……それで、ここの文を現代文に直すと、こうなるから。彼は疑われるんだ、読めたって事は書いたのはお前かって」



『えー、つらいな。読めたのに……』



マンツーマンでゆっくりしっかりと教えてもらい、今までで一番古典の話を理解できた。