聞き慣れない言葉だ。

ほうしって、どういう漢字だったっけ。

思い出そうとしても、ぼんやりとしかその形は浮かんでこない。


「有名人だよ。知らないの?」

「知らないなあ。っていうかうちの学校、ボランティア部なんてあったんだ」

「そこからぁ? 新入生歓迎会で部活動紹介やってたじゃん」

「え? あー……寝てたような気がする」


わたしの言葉に、友だちは「相変わらずやる気ないなー」と笑いながら、また歩き出す。

その背中を追いながらも、ふたりのことが気になって後ろを見てしまう。

ふたりはプリントを集め終わって、女子がペコペコと聖人に向かって頭を下げているところだった。


ありがとうございます、いやいや気にしないで。

そんなことをお互い繰り返し言い合っている。


やがて女子が走り去っていくと、聖人は困ったような微笑みを浮かべながら、何かを口に放り込んだ。

よく見えなかったけど、さっきの女子生徒から、手伝ったお礼にアメでももらったのかもしれない。



「……もらってるじゃん、見返り」