玲也は、あの文化祭の後、ゆきねや篤から心配されるくらい明るく振る舞っていた。

もちろん、その明るさが空回っていることなど、自分でも十分すぎるくらい分かっている。



「お待たせしました!」



注文された品を席に運ぶ。

そこの席にいた高校生は、リボンは青色であるが、優羽が着ていたものと同じだ。



「わー!美味しそう!」


「本当!やっぱ勉強には甘いものが必要よね~」



この学校の女子制服のリボンは、青→緑→赤という順に入れ替わっていく。

二年生の優羽は緑だったので、恐らく三年生。

たぶん受験勉強なのだろう。



(優羽ちゃんは、受験生になってもこの店に来るかな…)



頭の隅でチラリと思うが、すぐにその考え直す。



(だから、そんなことを考えても仕方がないんだって。
この店に来る時以外のあの子を知ることなんて不可能だって、実感したばかりじゃないか。)