「…すっかり警戒心なくして…かわいいなあ、赤崎さん」



ゾクリとする。

今まで優羽が一緒にいた坂井とはまるで別人だ。

坂井の手が、腰のあたりに回される。



「い、嫌…」



顔が、また吐息を感じるくらいまで近づいてきて、思わず優羽はそう言った。

坂井は優羽の拒否を受け入れる様子はなく、それどころかこんなことを言い出した。



「嫌?まさかここまで警戒心解いといて、今さら引き下がれるとでも思ってる?」


「!?…」



怖い、と心の底から感じた。

助けて、と思わず呟いた言葉に、坂井はフッと笑う。



「無理だよ。何でわざわざこんなに人の少ない公園に来たと思ってるの」



坂井はさらに優羽の耳元に口を近づけて、息を吹きかけるかのように続ける。



「それに、ここのベンチって、茂みのおかげて外から死角になっててね…
誰にも気づかれない。たとえこんなことをしてもね」



坂井はそう言いながら、この大きなベンチに、優羽をグイと押し倒した。