「玲也ー、もうちょい笑顔つくる努力しろよ」


「ん?」



土曜日の午後、ランチタイムの終わりがけくらいで、客の数もだいぶ落ち着いた頃に、篤が唐突に不満げな声をあげた。

退屈そうな上に寂しそうなのが分かりやすく顔に出ているらしい。

玲也には自覚がないので、そう言われても困るのだが。



「まあ、ここ二週間くらい優羽ちゃん来てねぇもんな」


「な…」



篤はニヤリとして、言葉に詰まる玲也をさらに追い詰める。



「その上、二週間前に最後に来た時、お前休みだったしな。
優羽ちゃん前髪切ってた。雰囲気変わっててめっちゃ可愛かったぞ」


「っ…そうだよ、俺は何でよりによってあの日に休んだんだよ…
見たかったよ前髪切った優羽ちゃん。何でお前が見たんだよ」


「いや、別に良いじゃねえか。てかお前、突然しゃべりだしたな…」


「良くない。あとそんな気軽に優羽ちゃん優羽ちゃん名前連呼するな。
…俺がこの前ようやくちゃんと本人に向かって名前を呼べたところなのに」


「ああ、派手な女子高生に言い寄られてた時な…
確か、俺が会計の時わざわざお前を呼びにいってやったよな…」


「その節はどうもありがとうございました」


「素直かよ」