優羽が来店することが楽しみで仕方がないのと対照的に、正直あまり来てほしくない、苦手な客というのも存在する。

今日は朝から、その苦手な二人が来ていた。



「キャハハ、マジ?いぃじゃん、格好いいし、アタシは応援するよぉ」


「でしょでしょ!?マイ本気だからねー」



大きな声で話す、派手めな女子高生。

制服は優羽が通っていて、玲也の出身校である学校とは別の学校だ。


他の客は、彼女らの声に少し迷惑そうに振り返っていたが、やがて諦めたのか、今は皆無視している。


ただ、玲也には彼女らが大きな声で話していること以外にも苦手な理由があった。



「じゃあ呼ぼうよぉ」



一人が手を挙げて、高い声を出した。



「店員のお兄さぁん!お水のお代わりくださぁい」



ほら来た、と玲也はひそかにため息をつく。

玲也はなんとか笑顔をつくり、水を持っていく。



「お待たせしました」