「どしたの?ニヤニヤして」


「何でもない!」



どうやら、かなりにやけていたらしく、奈々に訝しげな顔をされた。

それから唐突に思い出したように言った。



「ねえ、テスト終わったからもうすぐ文化祭だね」


「うん。私、文化祭実行委員だからこれから忙しくなりそう」



優羽たちの学校では、毎年2学期の、中間テストが終わった今くらいから文化祭に向けての準備が始まる。

文化祭実行委員は、文化祭に関する会議全てに出席しなければならないため、この時期だけはかなり忙しい。



「そっかあ、頑張れー」


「うん、自分から引き受けた仕事だし」


「…とか言って、忙しくなったらあのカフェに行って神田さんに会えないなーとか思ってるんでしょ?」


「っー!何で分かるの…」



顔を赤くする優羽の隣で、奈々はケタケタと楽しそうな笑い声をあげた。