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「ちょっと優羽!神田さん、思った以上にイケメンなんだけどっ!」


奈々はケーキとコーヒーのセットを注文するなり、小声で優羽に言った。

ちなみに優羽は、スイーツは毎回食べているとかなりお金がかかるので、最近は一番のお気に入りであり一番安いプレーンスコーンにあんずジャムをつけて注文することが多い。



「ちょっ…奈々ちゃん、聞こえるよ」



優羽は慌てて奈々の口を手で塞ぐ。



「むぐぐ…大丈夫だって」


「ほら、勉強するんでしょ」


「はーい」



奈々は渋々教材を広げる。優羽も同じように鞄から教材を取り出したところで、注文したものが運ばれてきた。

運んできたのは、玲也だった。



優羽は自分でも、頬が自然と緩むのが分かった。



「ごゆっくりどうぞ」



玲也が立ち去った後、また奈々がしみじみと言う。



「イケメンだわぁ…」