あんずジャム




「玲也…さん」



そっと反応を見ると、玲也は目をそらして口許を手で隠していた。



「あ、えっと」


「名前呼ぶだけでこの破壊力って…」


「ん?」



玲也は一人で何かブツブツ呟いている。



「あの、神田…じゃなくて、玲也さん?」


「あはは…ごめんね、無理に呼ばせちゃって」


「大丈夫ですよ!少しずつ慣れていきます」



名前で呼ぶのは新鮮だし、恋人になったと実感できて、優羽も嬉しかった。


それから、優羽は玲也に言わなければいけないことを思い出した。



「そうだ、玲也さん。近いうちに、家に来れませんか?」


「え?」


「実は、家で玲也さんのこと話したら、お母さんが一回連れてきなさいって」


「お母さん、帰って来てるんだ?」


「はい、先週から。今回は年末まで日本にいるそうなので。あと、美羽ちゃんと剣斗さんも会いたいって」


「剣斗さん?」


「美羽ちゃんの彼氏です」