あんずジャム




「い、いやあ、間接キスだな…って…」


「っ…!」


「ご、ごめん。別にそんなつもりじゃなかったんだよね?」



謝る玲也に、優羽は恥ずかしさが増したが、同時に少し安心した。



「い、いえ…神田さんもそんなこと気にしたりするんですね」


「そりゃ…」



玲也は気まずそうにだまり込む。

しばらく黙ってから、玲也は思いきったように口を開いた。



「ね、ねえ、優羽ちゃん」


「はい?」


「そろそろ付き合って一ヶ月くらい経つよね?」


「ああ、そうですね」


「そろそろ、ほら…下の名前で呼んでくれたりとか…しません、かね…?」


「あ……」



言われてみれば、付き合ってからも未だに「神田さん」呼びである。

試しに、恐る恐る口を開く。