あんずジャム

 

サワァ…と風が吹いて、優羽の髪を揺らした。


玲也は、そんな優羽の目をしっかりと見つめ、ゆっくり口を開いた。





「優羽ちゃん。俺と…付き合ってくれませんか?」 





優羽はパッと目を見開いた。


真っ赤になったであろう頬を冷たい手の甲で冷やしてから、顔をそむけたくなるのを必死に堪え、玲也の目を見る。

スッと息を深く吸い込んでから言う。




「私で…良ければ」




優羽の答えを聞いた彼の顔は、みるみる喜びの色に染まっていく。



(知らなかった…)



優羽は、玲也の笑顔につられて笑みを浮かべる。



(好きな人に好きって言ってもらえるのって、こんなに嬉しいんだ)




溢れ出す想いが、彼に届いたという喜びで、優羽は胸がいっぱいになった。