電話が済んだのか、ほんの少しの時間で有希子が戻ってきた。
意識が戻ったことで、先生の問診に答えられるかを診られていたみたい。
しっかり答えたあと

「軽い脳震盪だったのでしょう。額の傷は目立たないように縫ってあります。溶けてく糸なので抜糸はありませんん。頭部のこともですが、肩や腰の打撲の方が痛みが長引くかもしれません。鎮痛剤を出しておきます。今日は大事をとって入院して下さい」
「はい、分かりました」

そうして問診が終わる頃には、病室から見える外は薄紫の夕焼けだった。
こういう自然の織り成す景色は綺麗で好きだ。
そんな風に見てるところに

「どうせなら今度は、うーんと高いとこでディナーや高いもの買ってもらいなさいよ!」
「なんかそれって、ますますお付き合いという感じではないような…」

そう言葉尻を濁すと、有希子も納得したような顔して言う。

「それもそうね、ちょっと違った関係になっちゃいそうで嫌よね!莉々花は副社長についてどう思ってるの?」

私は声には出さずに、苦笑いで返したのだった。
嫌いではないけど、好きかと聞かれると分からない。
それが今の現状だ。

『コンコン』

「すみません」

「はい、どうぞ!」

そこから入ってきたのは副社長とその第一秘書の坪内さん。