――え……?


柔らかいものが唇に重なる。


これっ……て……。


「芝田ッ……」

「まだダメ」


顔を背けようとしたら

頭のうしろに、大きな手をまわされる。


「……っ……」


頭が真っ白になって


何秒そうしているかってことが数えられない。


「……このまま授業サボっちゃおうか」


耳元でそっと囁かれ


全身から力が抜けそうになった。


「そんなことするわけないでしょ……」

「いい子だねー。薙乃ちゃんは」

「わたしだって……そりゃあ、もうちょっと芝田といたいって思う……けど」

「あー。それは言っちゃイケナイやつだ」

「え?」

「余計に戻りたくなくなるから」


ふたたび重なってくる、唇――。