「 忘れた?


まぁ、仕方ないか。 あいつらにあれほど酷いことをされた後じゃ 」



陸くんの仲間の人たちに、酷い事をされた?


いつ____




後ろを振り向いて、そんな事を言う人が誰なのか確認しようとしたが、阻止された。



「 ヒッ 」



どうしてか、顔も知らないのに

相手に肩を押さえられただけで悲鳴を漏らしてしまう




「 ごめんっ、ごめんっっ。


あぁ、可哀想に____ 」



可哀想に…………、?



聞いたことある。


懐かしい、何度もこの人にそう言って慰めてもらってた。


「 誰、ですか。 」



「 俺?


俺は…………。 今は秘密にしておこう


いずれあいつらの元から君を救いだしたら
その時に。 」



なんかドラマのワンシーンみたいで、変な嘘くささが…



「 とりあえず君の本当の恋人。

とだけは知っててほしい 」


「 えっ?! 」


驚いて声が大きくなり、慌てて自分の口を手で塞ぐ



顔を上げて前を見ると、砂浜にいる人たちは気づいていないようだった。




「 いいか、美奈帆ちゃん


陸は危険だ。 君に嘘をついている 」


妙に心の芯の部分に届かせる力があった。


「 ___嘘? 」


「 あぁ。


陸は最初、美奈帆ちゃんをどうやって言いくるめたんだ? 」



「 幼馴染で恋人だって。 」



声が小さくなり、顔を知らぬ相手の次の言葉に

不安がつのった。




「 はぁ。


なるほど、そうきたか 」



「 そうきた、って? 」



「 いいか、陸は恋人でも。

ましてや幼馴染でもない 」



どういうこと。


困惑した表情を浮かべ、一点を見つめる