【立花薫】
猿が箱を抱えている。
あの中に手を突っ込み、お題が書かれた紙を引き抜くというわけだ。
私たちは紅白に別れ、少し離れた待機している。
書かれているものが合っているのか否か、判断するのは猿らしい。
お猿さんのさじ加減1つということか。
白組は樋口美咲がトップバッターだ。
「じゃ、行ってくるわ」
紅組は伊藤明日香が歩み出る。
次が安藤で、私が最後という順番だ。
足の速さの問題じゃない。
紙に一体どんなお題が書かれているのか分からないが、見つけやすい物が理想的。その運も試されることになる。
猿が向こうでピストルを打つ。
明日香と美咲が駆け出していった。
先に着いた美咲が箱に手を突っ込み、紙を開いているのが、私たちからも見える。
続いて、明日香がお題を引く。
直ぐさま確認した明日香は、一目散に教室に向かって走っていった。
ということは__探しやすい物が書かれていたということ。
一方、美咲はまだ呆然と立ち尽くしている。
「あの子、何してんのかしら?」
なにやら猿と押し問答している。
それならそれでいい。
私としては、その間に明日香が探し物を見つけることを願うばかりだ。