「仮装、どうだった?」


「すっげーよかったよ。一番うけてたじゃん」


涼太はそう言い、思い出したように笑った。


「先生たちの女装?」


「それそれ。他のクラスはやってなかったもんなぁ」


「そうだよね。受け狙いのクラスがあたしたちのクラスだけだったからなぁ」


もっと楽しく冗談っぽくやるものだと思っていたけれど、他のクラスは案外真面目に仮装をしていた。


「でもさ、あの衣装は本当にすごかった」


「えへへ、ありがとう」


褒められると素直に嬉しかった。


使った後にすぐに破れてしまったのだけれど、それでも作ってよかったと思えた。
その時だった。


涼太の手があたしの指先に触れた。


その手は少しとまどいながらも、あたしの手を包み込む。


驚いたけれど、なにも言う事ができなかった。


あたしはただ涼太の手を握り返す。