咄嗟に逃げようとしたあたしの両腕を、後ろにいた男が拘束した。


「ふふふっ。これからはもっと楽しくなりそうね。なんせ、お嬢様と一緒に奴隷たちをいたぶることができるんだから」


それってどういう意味?


小春ちゃんは奴隷に拷問なんて与えていなかったっていうこと!?


ユキエさんはそれを知っていたのに、あたしにはあんなことをさせたっていうの!?


そう聞く前にあたしの腕にチクリと痛みが走り、注射器の針が刺さった。


「やっ……」


抵抗する暇もなく、全身から力が抜けていく。


「安心してね。次に起きた時にはあなたの記憶も全部書き換えておいてあげるから」


ユキエさんのそんな声が聞こえてきて、あたしは意識を手放したのだった。