「お嬢様は元々この生活に疲れていらっしゃいました。そんなお嬢様を救う方法はただ1つ、身代わりを用意すること」


『身代わり』という言葉に心臓がドクンッと大きく跳ねた。


「どんな方法で用意するか、どうやって身代わりを探すか。課題は山積していたけれど、そんな時にお嬢様が知り合ったのが、心さん、あなたです。


年齢が同じで見た目も似ている。その上あなたはお嬢様の暮らしにあこがれていた。身代わりにするのに丁度いい人間んだったんです」


「そんな……それじゃ、あたしは最初から身代わりにされるためにここに来たっていうの!?」


ユキエさんは左右に首を振った。


「結果的にそうなったのは、あなたが家に帰ろうとしなかったからですよ。お嬢様は『心ちゃんになりたいけれど、こんな暖かな人生を奪うわけにはいかない』そうおっしゃっていました。けれどあなたはどうですか?


 人の人生を妬み、自分の人生を怨み、揚句嘘をついてまでお嬢様の人生を奪い取ったんです」