しかし、言われたのは意外な一言だった。


「知ってましたよ」


ユキエさんは表情を1つも変えずにそう言ったのだ。


あたしは驚いてユキエさんを見た。


「どれだけ化粧で似せていても、幼い頃から一緒にいるお嬢様との見分けがつかないわけがないでしょう」


「それなら、どうして小春ちゃんが戻ってきた時に追い返したんですか!?」


「それがお嬢様の望みだったからです。あなたはあの時遠くから見ただけだから気が付かなかったと思うけど、あの時にはすでにホクロの撤去は済んでいました」


ユキエさんの言葉にあたしは目を見開いた。


その時すでに小春ちゃんの顔にホクロはなかった!?


確かに、あたしは階段の上から小春ちゃんを見ただけだった。


顔をしっかり確認なんてしていなかった。