「次はどうしよう。爪ばっかりじゃつまらないしなぁ」


そう言い、あたしは立ち上がった。


あれほどカッコよかった武人君の顔は、涙と鼻水でびしょ濡れだ。


もうカッコいいだなんて思えない。


性格も顔も悪いただの奴隷だ。


あたしは武人君の口を無理やりこじ開け、その中にハンカチを詰め込んだ。


口の奥まで押し込むと武人君は苦しそうにせき込んだ。


口が閉じれなくなった状態で口内を確認する。


綺麗な歯並び。


あたしはこの口にキスをしたのだ。


思い出すと、吐き気がした。


こんな男とキスしただなんて、自分が信じられなかった。