他のプレゼントではメッセージカードに一言添えてあるだけだったりしたけれど、これだけはちゃんと手紙で書いてあったのだ。


顔写真は付けられていなかった。


でも、この中から選べと言われたらこの人しかいなかった。


少しでもいい、会社とか関係なく自分を見てくれる人がいい。


「良い人が決まりましたか?」


エントランスで座り込んでいるとユキエさんがそう声をかけて来た。


昨日、あたしのせいで眠れていないのか目の下にクマがある。


それを見た瞬間、胸が痛んだ。


ユキエさんはちゃんとあたしの事を見てくれている。


そんな人に迷惑をかけちゃいけない。


「決めました」


あたしはそう言って手紙を持って立ち上がった。


「では、さっそくその方にお返事をしてきますね」


ユキエさんはそう言って、手紙を持って行ってしまったのだった。