その後ろ姿を見送り、大きく息を吐き出す。


涼太にとってあたしはただの幼馴染で、それ以上でも以下でもないのだろう。


涼太のあの態度は昔から何も変わらない。


「いいなぁ心」


あたしの机の近くにいた柚がそう声をかけてきた。


「柚って涼太の事が好きなんだっけ?」


そう聞くと、柚は小首を傾げた。


「好きっていうか、ファンかな。サッカーしてる時の涼太君を見るのが好き」


柚が嬉しそうにほほ笑んでそう言った。


柚のような子はこの学校にとても多い。


「確かに、サッカーしてる時だけは別人だもんね」


「あはは。心ってば涼太君に厳しいね」


「だって、毎日ノート見せてって言ってくるんだもん」


そう言い、あたしはふくれっ面をした。