「起きてるよ」


そう返事をするとパジャマ姿の小春ちゃんが部屋に入って来た。


「デートの服も選んで置いたから」


「ありがとう。でも、服くらい自分で選んだのに」


「あたしの趣味と心ちゃんの趣味は同じだけど、武人は違うの。大人びた服装が好きなの」


「そうなんだ。そんな服が似合うかな」


小春ちゃんの持っている服はあたしにも似合うという自信はあったけれど、大人っぽい服を着たことはなかった。


「ちょっと試着してみて」


そう言われ、あたしは眠気を押し込めながら部屋を出たのだった。