『……ごめん、心ちゃん』


「ごめんってことは、認めるってことだよね」


『……本当に、ごめん』


こういう時に謝る事しかしないのが余計に腹立たしく感じられた。


あたしは空いている方の手で握り拳をつくった。


爪が手のひらに食い込み、その痛みのおかげでどうにか怒鳴り散らさずに済んだ。


『ねぇ心ちゃん、1つ提案があるんだけど』


「提案?」


こっちは怒っているというのに、一体なにを言い出すんだろう。


『うん。今回のことは本当にあたしが悪かった。でもさ、心ちゃんもあたしの彼氏の事気になってるでしょ?』


そう言われて、あたしは返事に詰まってしまった。


実際には見た事のない小春ちゃんの彼氏。


涼太と比べてみても、断然にいい男だった。