「芽衣、ごめん。まだ終わってないから先に帰っててくれる?」




______芽衣。それは姫野さんの下の名前だ。そうか、光輝の好きな人って姫野さんなんだ…。




「あっ!まだ終わってなかったの?ごめんね!話の邪魔しちゃって!でも一緒に帰りたいから話が終わるまで待ってるよ!」


「でも本当に帰るだけになっちゃうし…」


「少しでも光輝と一緒にいたいもん!」


「芽衣…」


2人の間にある空気感が耐えられなかった。



「姫野さん!もう話終わったから大丈夫!!帰ってもらっていいよ!私ももう帰るし!」



これ以上ここにいるべきではないと思った。
いてはいけないと思った。


「一ノ瀬さんごめんね?光輝を取っちゃうみたいになっちゃって…。でもね私が光輝のこと好きになれたのは一ノ瀬さんのおかげなんだよ!
一ノ瀬さんがゼミの時に光輝の話よくしてくれたでしょ?それですごく素敵な人だなぁ〜と思ってそのまま好きになっちゃったの!それで頑張って振り向いてもらえるようにアタックしたんだ!一ノ瀬さんは私たちの恋のキューピッドだよ〜!本当にありが…」


私はその場から走り去ってしまった。
そうしなければ私が壊れてしまうと思ったから。