「このハナシ、お兄ちゃんにするの?」 「……言えるわけ、ないじゃん」 「よかった。さすがにそこまでオバカじゃないんだね」 そうだよ、確かに私はバカだよ。 でも本当に、こんなことは……言えるわけないよ。 コンコン、とドアをノックする音。 看護師さんだ。 よかった。 この気まずい空気をどうしたらいいのか全然思い浮かばなかったから、助かった。 「じゃあ……またね」 「もう来ないでよ」 「また来るよ」