「そうなんだ、で、そのドナーから骨をもらって移植するの?」

「ううん、骨髄移植はね、他の臓器移植とは違って、ブツの移植手術じゃないんだ。だからお腹切ったりもしない。点滴するだけ」

「え? それだけなのに恐いの?」


点滴なんて私だって今も点滴用の針くっついてるよ? 痛くもかゆくもないよ?


「んー、それだけっちゃだけなんだけど。その前にする前処置とか、移植終わってからの拒絶反応とか、そんなのがえげつないんだよね」

「……そうなんだ。でも、それさえ我慢すれば治るんなら、やったほうがいいよね」

「うん。俺もそう思う。俺はいつでも覚悟できてるのに」

「覚悟?」

「ドナー、俺なんだよ。兄妹は移植の型が合う確率が高くて、でも合わない人ももちろんいて、俺達は合ったっていうね。だから八重はラッキーなんだよ。なのに」


難しいことはよくわかんないけど、八重ちゃんは治るんだって思ったら、アレコレ怒鳴られたの思い出してちょっとムカついてきた。