「ねぇ。いつも思うんだけど、何で僕と目、合わせてくれないわけ?」 またもや、天本くんがこちらに手を伸ばしているのを視線の端に捉え、慌てて席を立った。 い、移動しなくちゃ…! 離れなくちゃ…。 これ以上ここにいちゃいけない…! 私の頭が危険信号を灯している! 「…せ、先生に呼ばれていたので、失礼します…!」 私にしては大きめの声を出して、慌てて教室から逃げ出した。 少し声が裏返っていたけど、そんなこと気にならなかった。