「?」
私は、できるだけ喋って声が聞かれないように、小首を傾げる。
「これ。カーディガン」
私のカーディガンを指さした。
「…あ、暑くない…です…」
結局、また声を出してしまったことを後悔しながら、顔を見ないようにふいっと前を向いた。
もちろん、長く伸ばした髪で横からも顔が見えないように。
「嘘。暑いでしょ。
顔、赤いよ?」
そう言うなり、あろうことか天本くんは私の髪を除けて、頬にちょんと触れた。
「────────!?」
驚きでぴょんと肩が跳ねた。
少しひんやりとした人差し指の温度が頬に伝わる。

