「朋也!遅い!」




部活では先輩からとにかくしごかれた。最後の夏の試合があったからだ。先輩達にとっての最後の試合。


俺はいつも怒られてばかりで褒められてレギュラーを勝取るのはいつもいつも晃だった。

俺はボールが駄目になるほど毎日頑張っているつもりなのに全く力にならない。



挙句の果てに先輩から才能がないんだろう。と言われるくらいだ。





「俺って才能、ないんだろうなぁ」



「そんなことあるわけない!誰よりも努力しているの知ってるもの!」






いつも支えてくれるのは菜々だった。だから俺も菜々だけを頼りにしていた。弱いところを見せていた。

それがこれから菜々を苦しめるなんて思ってもなかったけど。






「夏の大会!最初はこの五人で行く!」





最後の試合、俺は初めてスタメンになれた。足でまといにならないように先輩達にパスを回し、リバウンドをして何度も何度もボールを自分の元へ引き寄せた。





「朋也!パス!」