人格交換ガチャ

私は鞄に入っていたアクセサリーを見て店を出た。桜先輩は人の命まで盗めるのって言ってた。


これでお兄ちゃんの……。


私は家に帰った。
家にはお兄ちゃん以外、誰もいない。





「お兄ちゃんのせいよ」





私はお兄ちゃんの部屋に静かに入る。お兄ちゃんは爆睡していた。

部屋にはアイドルのポスター、床にはグッズ。パソコンは付けっぱなし、お菓子の袋を開けて放置してあるばかり。




「……お兄ちゃんは疫病神なの。お願いだからどこかへ行ってよ…。もう円香もお母さん達を苦しめないで」



私も疫病神だけれどもお兄ちゃんはその上を行くのよ。



私は空気を掴み取った。まるで、お兄ちゃんの心臓を掴み取るかのように。



寝ているから死んだかどうかなんてわからない。でも手応えはあった。

これが人を殺す、ということなのだ。






「さよなら。ごめんね…」





悲しくも寂しくもないのよ。
まして罪悪感なんてもっとないわ。


私は人形だから。