「…うん」
「なにが、あったの?」
「顔を、お兄さんの顔を見たことがなかったから、ご挨拶したら入っていいよって言われてそれで……」
円香はもう少しで襲われそうだったというのに大泣きをしたりはしなかった。
涙を我慢していた。
それは強がりなのか、お兄ちゃんなんかに涙を流したくないのか、心を読んでもわからなかった。
「お母さん達に言う?」
「それは絶対に駄目!せっかくのお父さんの幸せを壊したくはないの!」
「でも、円香が辛くなるよ?それに、私ももうあんなお兄ちゃんとは……」
「お願い!お願いだから!言わないで!」
円香がこんなに言うならば、と私たちはこの件に関して口を塞いだ。
それからは表向きは平和に暮らしていた。
「ねぇ、円香ちゃん。まだババァ達結婚してないんだから…」
「やめてください」
私たちがお母さん達にお兄ちゃんのことを言えないことがバレるとお兄ちゃんはもっと円香に近づくようになった。
円香はそれからあまり家には来なくなった。家に来る時は私が必ず隣にいることにした。
本当にこれが幸せだと言えるの?
円香はだんだん笑顔を失っていた。目の下にはクマがあって、目がよく腫れている。
円香…。
「なにが、あったの?」
「顔を、お兄さんの顔を見たことがなかったから、ご挨拶したら入っていいよって言われてそれで……」
円香はもう少しで襲われそうだったというのに大泣きをしたりはしなかった。
涙を我慢していた。
それは強がりなのか、お兄ちゃんなんかに涙を流したくないのか、心を読んでもわからなかった。
「お母さん達に言う?」
「それは絶対に駄目!せっかくのお父さんの幸せを壊したくはないの!」
「でも、円香が辛くなるよ?それに、私ももうあんなお兄ちゃんとは……」
「お願い!お願いだから!言わないで!」
円香がこんなに言うならば、と私たちはこの件に関して口を塞いだ。
それからは表向きは平和に暮らしていた。
「ねぇ、円香ちゃん。まだババァ達結婚してないんだから…」
「やめてください」
私たちがお母さん達にお兄ちゃんのことを言えないことがバレるとお兄ちゃんはもっと円香に近づくようになった。
円香はそれからあまり家には来なくなった。家に来る時は私が必ず隣にいることにした。
本当にこれが幸せだと言えるの?
円香はだんだん笑顔を失っていた。目の下にはクマがあって、目がよく腫れている。
円香…。



