人格交換ガチャ

この人の頭で理解できる？
いや、無理だね。

この人は絶対に知らない。

欠けている部分のある人間の気持ち。




「私はもう自分というものがないの。元の自分。そう、私は人形なのよ」




「人形？なにそれ……」




「……あとはあなた自身で調べるしかないのよ」




私はそう言い、ポケットから白い紙を彼に渡した。彼は目を大きく見開いた。



「え…？」




私はそっと視線をそらし、鞄の中に入ったスマホを見つめた。そこには母からのメッセージ。内容は大事な話がある、と。




「あなたが本当に話を聞かなければいけない人達の一覧よ」



「なんであいつが…！」



「今日は帰らなければいけないわ。ごめんなさい」




私はそう言うと彼に背を向けた。




「待って！」




私は走り出した。
追いかけては来てはないようで私は柳瀬さんの家とは真逆の方へ向かった。

そっちが私の家だからだ。




「ただいま…」



見知らぬ靴が2足あった。一つは男物の大きな靴、もう一つは少し小さめで……。




「おかえり、瑠璃」