彼はなんにも言わなかったが、私のあとに続いてあのバス停で降りた。



「人格交換ガチャってなんなの?この広告のことだよね?」


「人気のない森の奥深くにある駄菓子屋のガチャ。それは人の性格を変えるの」


「もしかして……柳瀬さんも…」



まあ、桜先輩も、なんですけどね。



「行ってみますか?」


「行けるの?」


「誰でも行けるわ」



私は歩き出した。彼はまた何も言わず私についてきた。少しずつ肌寒くなりながらも暗い森の奥深くに進んでいく。



「着いたわ」


「なんだここ……」


最初は誰だって驚く。

真っ暗な森の奥深くにある小さな駄菓子屋。ガチャ以外は利用したことはないけれどもお店の中にあるものも何かしらわけアリっぽい。


「誰もいない駄菓子屋なんですよ」


誰もいないのに、ガチャは減らしているはずなのに増えているし、中に売っているお菓子も賞味期限は守られている。

いつ来ても変わらない。