「君たち、あんまり近づいちゃダメだよ」




黄色いテープの手前まで行くと若い警官が俺たちに話しかけてきた。





「あの、柳瀬さん。柳瀬 真結さん、死んだ時に何か持ってませんでした?」



警官は手に持った紙を何回かめくると首を振った。





「なんにも持ってなかったよ。遺書とかもなんにも出てこなかったし…」



「じゃあ、捨てちゃったんだなぁ」




橘さんの言っている言葉は俺には理解出来なかった。




「気をつけて帰るんだよ」



「ありがとうございました」




橘さんはなんだか清々しい顔をしていたが、俺は謎が深まるばかりだった。