それから数日後から彼を尾行し始めた。

彼はイケメンで頭脳明晰、スポーツ万能の誰もが羨む王子様に生まれ変わっていた。



昔、デブでブスだからといじめられていたという事実は本人すら知らない。

すべてを知ってるのは俺だけなんだ。





「………悔しいな」






何回か接触を図ったが、俺はいじめられっ子としてみんなから見られ、軽蔑された。

アイツにも……







「ここに、いたのか……」





俺は人格交換ガチャのデータを探した。でもまさか、人格交換ガチャが具現化され、森の奥に設置されていたなんて思いもしなかった。



後で調べてみるといろんなことが分かった。


彼は俺のアナグラムの入ったメアドを使って最初は人の願いを叶えていたこと。

人格交換ガチャはこの森に置かれてから何回か使われていること。

代償のせいで人を失っていること。





調べれば調べるほど心が痛くなった。

でも代償制度のデータだけはコピーできず、何も手を出せなかった。



彼は俺に罪を被せるために……自らをOtukiと名乗り、利用者の前に姿を現していた。



代償制度で初めての犠牲者は近藤刑事が密かに想いを寄せていた女性。